【自律神経を整える呼吸の方法、秘訣は吐く事だった】
自律神経を整える呼吸方法
当院では、患者様へ自宅でもできるセルフケアをお伝えしています。自律神経を整えるためには、治療だけではなく、普段から自分の身体の状態を知って、それに沿ったセルフケアを自分でできるようになって欲しいからです。
また、セルフケアで自分の身体へ目を向ける習慣をつける事で、自分の状態を把握する習慣ができます。自律神経失調症を始め、身体や心の症状で悩んで来られる方のほとんどは、ご自分の身体や心の状態に対して今まで関心がなかった方が多いです。そのため、身体が出す危険信号を受け取れず気づいた時には、症状が重症化してしまっている事が多いんです。
今日は、自律神経を整えるための自宅でできるセルフケアを、呼吸の面から解説致します。今まで、呼吸を意識した事がないという方も、この呼吸の質を良いものにするだけで、自律神経が整い心も身体も軽く心地よい状態になります。
呼吸は、1日に○○回している。
ヒトは。1日に呼吸を回していると思いますか?
正解は、1日に3万回すると言われます。
個人差は、あるでしょうが、大体の方がこの回数をしています。これだけたくさん繰り返している呼吸ですから、乱れた呼吸(吐けていない呼吸)を続けていると当然身体にも負担がかかります。ですので、質の良い呼吸を行う事は、身体のケアまたは、自律神経の安定につながるんです。
人の行動の9割は無意識
日常的に生活において、人の行動の9割が無意識と言われています。
考えてみるとそうですよね。
会話や仕草、表情、姿勢、呼吸といった一つ一つの行動を考えて動くことは、ほとんどありません。
また、スマホで撮った動画に映る自分を見て
『これ本当に自分?』
と思ったことはありませんか。
人は、初めは意識的にやっていた事も、反復することで覚え、無意識にできるようになります。
その中でも『呼吸』は人が生きるために必要不可欠なものであり、意識して息を吸っている方はおられないと思います。
また呼吸は、生きるためだけではなく、心身のバランスを整えるためにとても重要な事です。
NOTOでは、『呼吸』を上手にできているかで、その方の状態を見ることを大事にしています。
この呼吸ができるかできないかでは、心身の状態は、180度変わると思って頂いていいです。
そこで本日は、心身を安定させる呼吸の第一歩、『吐く』呼吸についてお話させていただきます。
良い呼吸って?
結論からお話しすると
呼吸が吐けていない方は、呼吸が浅くなり、
呼吸が吐けている方は呼吸は深くできます。
ここで間違えて欲しくないのは、息を吸えていないことが、浅い呼吸なのでは無いという事です。
息を吸うためには、空気中の酸素を肺に取り込む必要があります。
一回の吸う息の量は500mlです。
皆様がよく飲むペットボトルの500ml飲料と同じ量にあたります。そして、吐くときもまた同じ量の500mlが出ていきます。
しかし、ストレスを日頃から受けている人は、この喚起(息を吸って吐く)が上手くできず呼吸が乱れてしまっています。
そして、この時の呼吸は吐くことより『吸う』ことを優先的にしていることが多いのです。
またこの時、吸う量と吐く量は、同じ量のはずですが、ストレスによって息を十分に吐かないせいで入る息の容量も肺には、ありません。
よって吸う息の量は、通常の量に比べ、とても少なくなります。
また吸った酸素(息)の一部は、体内で二酸化炭素に置き換わります。この二酸化炭素は、吐くことで排出しなくてはいけませんが、ストレスが原因で吸ってばかりいると、身体の血中や脳内には二酸化炭素が充満した状態になってしまいます。
いわゆる酸欠の状態に陥ります。
酸欠(酸素欠乏症)って?
酸欠(酸素欠乏症)の症状は、次の通りです。
● 脈拍・呼吸数増加
●精神集中力低下
● 筋力低下
●頭痛
●耳鳴り
●悪心
●吐き気
●虚脱
●チアノーゼ
●幻覚
●意識喪失
●昏眠
●中核神経障害
上記の中には、重症度の高いものも含まれます。
普段の呼吸のレベルによる酸欠の症状は、
頭痛、耳鳴り、吐き気、集中力の低下(記憶が飛んだり、日中眠くなる)、脈拍数の上昇
などが当たります。
酸欠が原因で日常に実際に起きる事
仕事中に眠くなる、
凡ミスが起きやすくなる、
仕事中や終わりがけに頭が痛む
急に耳鳴りや耳が聞こえにくくなる
吐き気(オエッとしてしまう)が朝から続く…
このような事が慢性的に起こっている方もおられるのではないでしょうか。
また、脳に酸素が慢性的に欠乏しているため、極度な不安が襲うこともあります。これは、脳が酸素が足りないせいで起こるんです。
このように身体に酸素が不足する状態に陥ると、心身の安定は見込めません。
そうならないためにも日頃から呼吸は、吸うのではなく吐く事を意識して、二酸化炭素を出し、新鮮な酸素を取りこむようにしてみて下さい。
吸い過ぎると起こる身体の異変
呼吸で吸ってばかりいると、身体の筋肉にも影響があります。
肋間神経痛
呼吸が浅い方は、胸の動きが弱いため肋骨の間にある肋間筋が固まりやくなります。また、猫背や巻き肩の方は、胸の筋肉が縮まってしまうためより胸が開きにくくなります。すると、肋骨の骨や筋肉に沿って走る肋間神経が筋肉の硬直や圧迫によって興奮し、痛みを発生させる事があります。これが、肋間神経痛と呼ばれるもので、ストレスを強く受けた方によく現れる症状です。
息を吸っても十分に入らない感覚
呼吸をする為には、横隔膜と呼ばれる肋骨の下に張り付く筋肉があります。息を吸う時は、緊張し、息を吐く時は、弛緩します。ヒトは、ストレスを感じると吸う呼吸を頻回行うようになります。すると、横隔膜が緊張した状態が長時間続くため緩む事が難しくなります。筋肉は、緩んで初めて力を入れる事ができます。横隔膜が緩まずに更に息を吸って緊張させるため、息を吸っても吸えない感覚に襲われるわけです。
普段できるセルフケア
ハーバード式呼吸法
4秒かけて息を吸い、7秒間止めた後、8秒かけて息を吐きます。ここでも大事になるのは、息を吐くことです。そして息を止めることで息のリズムをゆっくり落ち着かせ、肋骨の間の肋間筋をストレッチします。
肩を上げない呼吸
深呼吸をするとき、肩が上がる方が多いと思います。これは、自律神経を落ち着かせるよりも、逆に交感神経を興奮させてしまう可能性があります。スポーツや、仕事の場面でやる気を出すとき、ヒトはこのような呼吸をしがちです。副交感神経を優位にさせ心を落ち着かせる呼吸とは、肩を出来るだけ上げず肋骨を横に広げるようにして呼吸をします。こうすることで普段の呼吸に近い状態で、自律神経を落ち着かせる呼吸ができます。これを繰り返すことで普段の呼吸も無意識に自律神経を落ち着かせる呼吸ができるようになります。
低い声を出す呼吸
ヒトは、緊張をすると声が上ずる事があります。仕事で電話に出た時や、上司や相手先と話をするときに出やすいです。しかし、この声は喉に負担をかけます。よく喉に詰まったような感覚がある方の原因の一つにこれがあります。ヒステリック球とも言われます。また、上ずった声は自分自身にも聞こえているため、脳は落ち着きがなく緊張をしていると思い込んでしまいます。すると交感神経が優位になるため、自律神経が乱れやすくなります。
歌を歌う
声を出すことは、呼吸でいうと息を吐く事と同じことになります。そして、歌を歌うことでこの吐くという行為が自然とできます。そこで歌を歌うことで自律神経を整えることができます。
明日から是非、意識してみて下さい。
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