起立性調節障害で悩んだ高校2年生の改善記録と親御さんたちへ

起立性調節障害を抱えるご家族のかたへ
今年もあと少しで終わりですね。今年は起立性調節障害での相談が13件ありました。月に一人のペースです。普段から自律神経を専門としていることから、パニック障害やめまい、不眠症等の症状が多いのですが、この起立性調節障害の症状は、年々相談が増えています。昨年は10件でした。親御さんが藁をすがる思いで来られます。出席日数や、授業の単位が取れず焦りと不安がある中でご来院しますが一番は、やはりこの子の将来の事が心配と思っていらっしゃいます。私自信、子供を4人育て4人ともそれぞれの個性があります。子供の数が多いだけ悩みや不安も多いです。起立性調節障害という比較的最近になって名前の付いたこの症状は、数字や画像診断では診ることのできない、いわば得体のしれないものです。この症状を抱える生徒さん本人や、それを見守る親御さんのお気持ちは、本当に辛いものだと察します。私自身もお子さんや親御さんの話を聞くたびに自分自身の子供がもしそうならどうしているだろう、このような対応はできるのだろうか、今の教育や躾がこの子にとって合っているのかと度々、葛藤と反省をする日々です。
どういった方が来院するのか
起立性調節障害というのは、自律神経の乱れから血圧が上がらず、朝起きれないやる気が出ない等の症状が現れ、お薬を投薬することで緩和させるのですが、お薬が合わない子もいれば、合って順調に回復する子もいます。
当院へ来られる方は投薬をして自宅療養をしているにも関わらず、症状が改善しないという方です。実際にお子さんや親御さんと話をしてみると、原因は複雑で多岐にわたると思わざるを得ません。原因は決して一つではないんです。また、朝起きれないことは共通しますが、その子によって頭痛、腹痛、食欲不振、めまい、情緒不安、咳など症状は違います。これは、この症状に関わらずいえる事なのですが、自律神経の症状で現れる身体の不調は、本人にとって弱いところ謂わば弱点に現れます。
患者の経過観察の記録
男性 高校2年生
1年前から起立性調節障害を発症。週に1回の心療内科の受診、投薬するが改善が見られないためご来院しました。
【症状】倦怠感、頭痛、肩こり、寝付きにくい、昼まで起きれない、夜うなされる、後頭部痛、手足の冷え、下腹部痛、軟便、顎関節症、食欲不振
中学校3年生の受験の頃から学校を休みがち。市内の進学校へ進むも、休みがちなのは変わらず、高校2年生の春に登校が完全にできなくなる。
身体は、全体が緊張していました。特に首の後ろや後頭部にかけてコリや浮腫みがありました。お腹のツボにも反応があり、胃腸に関わる治療も行っています。
初回の治療後から眠りやすくなるが3日目から元に戻る。食欲は、少し改善しお代わりをしたと親御さんが喜んでいました。その後、2週間から1ヶ月のペースで通院し、趣味にやる気が出るようになり、勉強のやる気も出て自分から教科書を開けて勉強を始めました。自宅から出ることが不安でしょうがなかったようですが、近くのコンビニやマクドナルドへ買い物へ行けるようになり、映画館へも行けました。そして通院から3か月目で大阪で一番大きなお祭りである天神祭りに友達と出かけましたと親御さんから連絡がありました。そして通院から4か月目に学校へ行けるようになっています。朝も7時に自然と目が覚め支度をしていけるようになったそうです。
出席日数はあと一回の欠席で留年となります。また公欠でも留年だそうです。担任を交えた話の中で、違う学校への編入であれば、救済があるとのことでしたが、自分自身で最後まで頑張ると決意して今もっ学校へ通っています。当院への通院も、月に一回のペースで来ています。
まずは会話から
当院では、まずお子さんにできるだけ素直に話をしてほしいと考えているため、最初は症状の話よりも普段の生活やゲームやアニメなどの本人が興味のあるものの話から始めます。その何気ない会話の中に症状の原因が必ず隠れているからです。また、親御さんには、話をしない事でも私となら話が素直にできる事がとても多いようです。話の内容を親御さんと個別で会話をすると、そうだったんですか。という事がとても多いです。
親御さんへ
また、当院では親御さんと個別で会話をすることで、お子さん本人だけではなく、親御さんのメンタルのサポートもしております。本人ももちろん辛いと思いますが、側で支える親御さん自身もまたとても疲弊しています。今回のお子さんの例では、お母様がリモートで仕事をしたいと会社に申し入れ、息子のサポートをしながら仕事をしていました。結果的には、退職をすることになったのですが、本人とじっくり向き合えて話をできたとも感想を述べています。また、この親御さんは基本的にはお尻を叩いて学校に行かせようとはせず、本人の意思に任せいました。喉のすぐそこまで出ているものをぐっとこらえていました。それを当院へ来られた時に色々とお話をして発散していっています。
原因はやはり…
今回のお子さんは、自宅での父との関係、中学校時代の所属した部活の監督とのやり取り、友人との出来事などあらゆることが原因で結果的に起立性調節障害が起きました。また、起立性調節障害に拍車をかけるのが先に述べた普段の言動や出来事によるストレスです。年齢がまだ未熟な時は自分の言動はほとんどが無意識です。その中で知らないうちに疲れやストレスを受けます。そこへ、起立性調節障害が起きることで猶更、症状が浮き彫りになります。
最後に
鍼灸治療は、きっかけに過ぎずその子その子のバックグラウンド、性格、思考癖、経験やトラウマ、環境、生活習慣に目を配り、そこを考慮した治療とカウンセリングがとても重要になります。
自律神経専門の鍼灸サロンNOTO
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